奴豚 牛美の長期滞在型ジプシー生活

2007年からマラソン始めた夫「奴豚」と 妻「牛美」。テーマ:マラソンに出場しながら旅してます

Midnight express

  • 2013/07/11(木) 16:29:39

      
      沢木耕太郎 深夜特急から



ほんのちょっぴり本音を吐けば、人のためにもならず、学問の進歩に役立つわけでもなく、真実をきわめることもなく、記録を作るためのものでもなく、血湧き肉躍る冒険大活劇でもなく、まるで何の意味もなく、誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそうにないことを、やりたかったのだ。

            

深夜特急  という 超がつくほど有名な紀行文を 実は今まで読んだことがなかった。

よく 中年オヤジから(往々にして自分と同じ年代なのだが。。。)あの本を読んで憧れ 旅に出た、、と聞くことがあったのだが、そう言われると余計に手に取る気になれなかったのだ。


深夜特急が出版された1986年頃、自分はすでに海外に出ており 異国の地で色々な試練を一人で乗り切りながら、現地人に混じり社会人として働いており、当時は『今更 旅行文や紀行文なんて ちゃんちゃら可笑しくて。。。』と 偉そうな気持ちでいた事も理由のひとつにある。


自分が初めて海外に出た1980年、女子が留学だの渡航だのは 今現在の気楽さとは全く違い、(船旅ではなくもちろん飛行機で快適に飛んだのだが、)出国の際 家族は今生の別れに近い気持ちを味わったのだろうと思う。
当時の日本は、ハタチそこらの中流家庭の娘っ子が 充分な資金も持たずに観光旅行目的以外で気軽に外国に行く時代ではなかった。



 「深夜特急」の本は 最初 香港 マカオ、次にマレー半島 シンガポールと続いていくのだが、シンガポールに5年住んでいた時 知合いに会うため オンボロのマレー鉄道の硬くて痛い木の椅子に座り 何時間も平気で遅れる列車の車中で熱風に吹かれながら、マレー人の叔母さん達の入国カードを代理で記入してやりながら 国境を超えてクアラルンプールへ行ったりしていたので、旅の姿を仰々しく本にする事自体が商業目的のようで嫌だったのだ。
当時は鉄道でシンガポール/KL往復するような酔狂な奴は周りにもおらず、周りの皆にやめた方がいいと言われながらも 外国人の姿などほとんど見かけない当時の列車の車内の様子は今だに記憶に新しい楽しい思い出である。今は綺麗なマレー特急として観光の一部にもなっているようだが。



カーブース・ナーメ(ペルシャ王が王朝の滅亡を前に、息子に残した処世訓集のようなもの、と記されていたが、、、)「老齢と青春について」という項に書かれていたという部分が響く。

  【老いたら一つの場所に落ち着くように心掛けよ。老いて旅するのは賢明ではない。特に資力のない者にはそうである。老齢は敵であり、貧困もまた敵である。そこで二人の敵と旅するのは賢くなかろう。】

             う~む、痛いお言葉だ。。。



長く旅を続けていると人は 悩み戸惑い自己嫌悪になり他人の親切に心を動かされたり邪険に拒絶したりと、みな 同じような心と気持ちの浮き沈みを経験していくのだなぁと、読みながら頷く場面が多かった。
沢木氏が当時、風のように水のように流されていく感覚を好んでいたところが自分と共通していた。我が初代ブログのタイトルはまさしく「風のように水のように」であった。。。



一人旅だからこそ生まれる沢木氏と旅先の人達とのほんの短い関わり合いの記録を読みながら、あの頃、携帯電話もインターネットも無かった当時の素朴で真剣な旅を懐かしんでいる自分がいた。




全六巻読み終えて、to be continued....的な締めくくりで少しホッとした。こうでなくちゃ、なーんちゃってね。。。

書中 幾度も繰り返されていた「自分の命に対して無関心なるー」という氏の気持ちは 実は自分も旅を始めてから感じ始めた。長旅に出ている他の人もそんな風に思うのだろうか。。。

旅人に会う機会があれば聞いてみたい。



あ、、、っ 奴豚は論外です。(奴は生に執着アリアリなので)

この記事に対するコメント

コメント

コメント頂きありがとうございました。
似たようなお気持ちを持たれていたとの事、嬉しいです。
マラソンは遅いので威張れませんが、走るのは気持ち良いです。是非!

  • 投稿者:牛美
  • URL
  • 2013/09/02(月) 12:23:24
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  • 投稿者:-
  • 2013/09/02(月) 10:18:36
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